Ayuwa代表 兼 デザイナーの渡部雪絵です。
「日本の働く女性のエンパワメントが、他の働く女性の犠牲のうえに成り立ってはならない」
改めて、強くこう思う出来事がありました。
先日、バングラディシュの縫製工場の実態についてお話を伺う機会に恵まれました。
そのなかで、工場で働くひとりの女性のエピソードが紹介され。
彼女は小学校2年生までしか学校に通わず、その後は家計を支えるため仕事に。
20歳となった現在は都心の縫製工場で働き、とても手先が器用で、工場でも期待をされているとか。
彼女が働いている工場は、ファストファッションのアイテムをつくっています。
ファストファッションは商品のサイクルが早く、大量生産を短納期で求めます。
工場長など管理職はもちろん男性。この工場長は先進国の企業であるファストファッションメーカーにモノ申すことはできず。
結局このしわ寄せは、実際にミシンを動かす女性、とりわけ仕事ができる彼女のような女性に寄せられるそうです。
彼女は大変つらい思いをし、涙を流すこともあったとのこと。
例えばジーンズが990円で売られてたりする。トップスが500円で売られていたりする。ワンピースが3,000円で売られていたりもする。
これらのアイテムが自分の手に届くまで、恐らく数十人、場合によっては百数十人の手を通ってきたはずなのに、なぜこのような価格が実現するのか。
Ayuwaのワンピースの場合、生地代だけで3,000円を大幅に超過します。量産というスケールメリットを踏まえても、海外工場生産による貨幣価値の違いを踏まえても、わたしは納得いきません。
日本ではいま、「働く女性」がフォーカスされています。「働く女性」に注目したお洋服も各ブランドから多く展開されています。また、働く女性のなかには、お仕事着はファストファッションで、、、という方もいるでしょう。
しかし、あまりにもお手頃価格のアイテムは、ひょっとしたらどこかの国の、働く女性の涙のうえに出来上がったお洋服かもしれません。もちろん、購入できる商品はそのときの経済状況によるので、その消費行動を否定するものではありませんが。
まずは知ることから、そして発信することからスタートする、わたしはそう思うのです。
因みににバングラディシュにとって、縫製産業は基幹産業の一つです。無くなればいい産業ではありません。
対等なフィーが支払われること、これが大切だし、本来あるべき姿です。
そのためにメーカーはどういった価格設定や商品展開をしなければならないのか、いまいちど考えなくてはならない時代になっている、そう思います。
そして私たち消費者も、洋服に限らず手にしているものがどうやって生産されているのかまずは気にすることからスタートすべきではないでしょうか。